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技術コラム

2024/09/10

第3回 3Dプリンタの造形方式

【3Dプリンタの造形方式】

近年、ものづくりで3Dプリンタは欠かせないものになっています。
製品試作にとどまらず実用用途で使用するケースも増えており、利用分野はなお広がりを見せています。

3Dプリンタの造形方式は多岐にわたりますが、その中からものづくりで良く使用する方式を紹介します。

■ 材料押出法(MEX:Material Extrusion)

FDM方式という呼び方で知られている造形方式です。
ヒーターで溶かした材料をノズルから押出し、一筆書きしながら積層する造形方法です。

小さいサイズから大きいサイズまで、サイズを選ばず比較的安価に、かつ早く造形できる方式です。
一方で造形段差の解像度が粗いため、積層段差が目立ちます。
また、強度や品質が積層方向の影響を強く受けるため、
品質を最大化するためには特性を良く理解して印刷設定する必要があります。

近年、機材と材料の進化が目覚ましく、多様な材料を選択することが可能です。


一般的には3Dプリンタと言えばこの方式を思い浮かべる方が最も多いと言える、代表的な造形方式です。

※ 弊社 3Dプリンタ出力サービスの紹介(FDM造形)

■ 光造形(SLA=Stereolithography Apparatus/DLP:Digital Light Processing/LCD:Liquid Crystal Display)

紫外線硬化樹脂に光を当てて一層ずつ硬化させ、積層して造形する方式です。
積層段差が微小なため非常に滑らかな表面品質を得ることができます。
一方で紫外線硬化樹脂を使用するため、太陽光に弱く対候性に難がある傾向にあります。

使用する光源により、大きく SLA(紫外線レーザー光源)、
DLP(プロジェクター光源)、LCD(液晶ディスプレイ光源)に分かれます。
SLAは光径が小さいため、複雑微細な形状も高精度に造形が可能です。
対してDLP、LCDは広い面積の光を使用するため、
造形スピードが早い特徴を持ちます。

近年、造形スピードの向上が目覚ましく、小ロット量産にも対応が進んでいます。

※ 弊社 3Dプリンタ出力サービスの紹介(光造形)

■ インクジェット

紫外線硬化樹脂をノズルから噴出し、光を当てて造形する方式です。
(厳密には材料の結合原理が異なるものもあります)

造形原理は光造形と同様ですが、材料供給方式から別カテゴリーに分類される場合が多いです。

SLA/DLP/LCDは単一材料を使用しますが、インクジェットは複数材料を使用することが可能です。
近年ではカラー対応の機種も登場しており、造形物の性質や色を幅広く設定できる特徴を持ちます。

外観確認用の試作品や展示用モックアップの用途で利用されています。

■ 粉末焼結積層造形(SLS:Selective Laser Sintering)

敷き詰められた粉末樹脂にレーザーを照射し、一層ずつ焼結して固める造形方式です。
品質、強度に異方性がほぼなく、かつ複雑な形状にも対応でき、強度・靭性・剛性に優れた造形物を得ることができます。

表面はざらついた質感となりますが、複雑形状、かつ強度が必要な造形の場合に最適です。

■ 金属造形

一般には、金属粉末にレーザーを照射して必要部位のみを溶かし固めて造形形状を得る方式を指す場合が多いです。
金属粉末を敷詰めた槽を使用する方式の他、レーザー照射と同時に材料を噴射する方式もあります。

マルエージング鋼、インコネル、チタン、ステンレス、アルミが一般的に選択できます。

切削加工では製作不可能な形状をつくることができるため、製品の高性能化、部品点数の大幅減少など、大きな効果が得られる可能性があります。
一方で造形費用が非常に高価なため、特性を良く理解して選択する必要があります。

近年では金属材料を混ぜた樹脂フィラメントをMEX(FDM)方式で造形し、造形後に樹脂材料を脱脂し焼結する方式が開発され、注目を集めています。

弊社では3Dプリンタを活用したものづくりを進めています。
まずは こちらから お気軽にお問合せください。

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