COLUMN

技術コラム

2025/07/01

第13回 実機レスデバッグについて

第7回で事前検証の概要について紹介しましたが、
弊社では事前検証のツールとしてiCADのIOCオプション(以下、IOCと呼びます)を使用しています。
今回はIOCの詳細について、運用寄りのお話しをしていきます。

■ IOCのメリット

既にiCADを使用して設計されている企業様であれば、
他のシミュレーションに比べ、導入コストを低くすることができます。
また、デバッグ途中で干渉などの不具合を発見した場合も、
iCADデータだけで完結するため修正が容易です。
他のシミュレーションツールですと、中間ファイルを介することが多く、手間が発生します。

■ IOCのデメリット

他のシミュレーションツールと比較して、
設備規模や動作設定の総量に依り、処理が重くなりがちです。
動作設定にはワークも含まれ、設備だけでなくワークの動作が複雑な場合も
処理が重くなる傾向にあります。
この点を除けば、他のシミュレーションツールより優れている点は多々あります。

ただし、本記事の作成は2025年6月に行っていますので、
今後のアップデートで改善される可能性もあります。

■ 構成機器について

弊社でIOCを使用する際の機器構成は、下図のようになります。

「実機のPLCは必要なのか?」と疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、
結論から申しますと、実機のPLCは無くてもデバッグは可能です。
三菱やキーエンスのPLCはシミュレーションモードがありますので、
それらを検証用PCに入れることでシミュレーションは動作します。
しかしながら、シミュレーションはCPUへの負荷が高く、ハングアップの危険がありますので、
PCへの負荷を出来る限り分散させる目的のために、実機PLCも用いてデバッグを行っています。

また、実機の操作盤についても同様で、
デバッグ作業で用いる制御用PCを、仮想のタッチパネルや操作盤としてデバッグをすることも可能です。
極端なお話、仮想のタッチパネルや操作盤が無くてもデバッグは可能です。
しかしながら、デバッグをする際に実機の操作盤が無ければ、
ソフト上で強制ON/OFFを繰り返すことになり、デバッグの効率が非常に悪くなります。
実機の操作盤があれば、タッチパネルのソフトのデバッグも同時に行うことができるため、
デバッグの効率が上がります。

その他、作業効率を上げるために、モニターは1PCに2つあると便利です。
特にiCAD側は、3Dモデルを表示させておく画面と、
OPCサーバやロボットのプログラムを表示させておく画面とに分けると、効率よくデバッグ作業が行えます。

弊社では、これまで多くのお客様のIOCによる実機レスデバッグをお手伝いさせていただきました。
IOCによる実機レスデバッグのご依頼 こちらから お気軽にお問い合わせください。

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